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位牌

位牌(いはい)は、死者の祭祀のため、死者の戒名や法名、法号などを記した木の板。 中国の後漢時代から儒教の葬礼に用いられる神主(しんしゅ。死者の官位・姓名を書く霊牌。)と同視されたため、「位」牌と呼ばれる。またその起源は、霊の依代(よりしろ)という古来の習俗と仏教の卒塔婆が習合した物ともされる。日本には禅宗と共に鎌倉時代に伝来し、江戸時代に一般化した。沖縄にも位牌はあり、また、土地の言葉で祖先を意味するトートーメーも位牌である。 位牌の助数詞|数え方の単位には、「柱」を用いる。
中国の位牌
位牌は故人の戒名や法号を記した板で中国の儒教にルーツを持っている市川智康『いざというとき役に立つ仏教質問箱』水書坊、1990年、122頁。儒教では後漢のころから位板(いばん)・木主(もくしゅ)・神主(しんしゅ)・虞主(ぐしゅ)等の名称で40cm程度のクリ|栗の板に生前の位官や姓名を心霊に託す風習があった
日本の位牌
日本には宋代に禅僧が中国から伝えたとされているが、庶民に一般化するのは江戸時代以降である市川智康『いざというとき役に立つ仏教質問箱』水書坊、1990年、123頁
用途による分類
大別して、内位牌(白木位牌)・本位牌・寺位牌がある。

内位牌

:臨終後すぐに製作され、枕飾りおよび葬儀の際に用いる白木の簡素な位牌。死者の戒名を表側・俗名(生前の姓名)を裏側・死亡年月日・享年(行年)を書く(あるいはこれらが書かれた紙を貼る)。土葬の場合は、中陰|四十九日の法要あるいは朽ち果てるまで埋葬した上に据え置かれる。火葬の場合は、葬儀後家に持ち帰り、中陰壇(四十九日の法要および納骨式まで遺骨を祀る臨時の屋内祭壇。)に祀られる。内位牌は、中陰壇を解いた後、焚き上げられる。〔内位牌の作成後、野位牌から本位牌に御霊を移動して頂いた後〕。

野位牌(のいはい)

:内位牌同様の白木の位牌。墓石に文字が刻むまでの間にお墓に置く位牌。

本位牌

:四十九日の法要までに、内位牌から作り替えられる位牌。(注

必ずしも四十九日までに作り替える必要はなく、満中陰法事・法要時に白木位牌で修行しても全く問題ありません。)殆どが木製で、仏壇の、通常は上から二段目に、中央を空けて端から置いていく。伝統的なものは、漆塗りやカシュー塗装に金箔・沈金・蒔絵が施されたものを塗り位牌(塗位牌)といい最も多く、黒檀、紫檀等に透明または半透明の塗装をしたものを唐木位牌という。唐木の漆塗りもある。また、近年は仏壇と同様に家具調もある。文字は書くか彫って地と違う色をつける。共に金色が多いが、金箔や金粉を使ったものと金を使わないものがある。近年は機械彫りが主流。本位牌には札位牌と繰り出し位牌がある。

*札位牌(板位牌)

*:一人あるいは夫婦など二人以上の戒名等が記された位牌である。戒名を表側・俗名を裏側、死亡年月日・享年(行年)を記す。書かれた人が存命中は、朱色の字にしておく。デザインは、春日、蓮付春日、勝美、葵角切、二重呂門、猫丸、千倉座などがある。複数名用に巾の広い巾広位牌もある。夫婦の場合、表側の戒名は向かって左が妻で右が夫であるが、裏側の俗名は2通りのどちらのものもある。

*繰り出し位牌(繰出し位牌、繰出位牌)

*:多数の薄い木の札が重ねて納められるようにした箱状の位牌で、一枚一枚に一人の戒名・俗名等を記す。祥月命日や月命日などに前面に繰り出してお参りする。位牌の数が多くなるとともに仏壇が小型になったことに伴い明治時代以降に考案されたものであるname="shitsumon123" />。

寺位牌

:本位牌の他に、菩提寺|菩提寺(旦那寺)や本山に供養の布施と共に納める位牌。寺では位牌堂や本堂内に安置し、朝夕の勤行の際に供養される。


対象による分類

順修牌(じゅんしゅうはい)

:順修牌とは亡くなった人のために作った位牌である。単に位牌といえば、通常「順修牌」を指す。

逆修牌(ぎゃくしゅうはい)

:逆修牌とは生前戒名をつけて作った位牌である。

:生存中に作られる位牌は寿牌(じゅはい)ともいい、生前に頂いた戒名や法名を朱で板に書き入れるname="shitsumon124">市川智康『いざというとき役に立つ仏教質問箱』水書坊、1990年、124頁。


宗旨による差異

禅|禅宗

:戒名の上に、「空

(仏教)|空」の文字が入る。野位牌では「新帰元」等とあるが、本位牌では「空」に改める。

天台宗・真言宗

:戒名の上に、「梵字#ア字|阿」の梵字が入る。これは、大日如来を表す。子どもの場合は、戒名の上に「訶」字の梵字が入る。これは、地蔵菩薩を表す。

浄土宗

:戒名の上に、「キリーク」の梵字が入る。これは、阿弥陀如来を表す。

浄土真宗

:宗義上「位牌」は用いないname="shitsumon124" />出典…『真宗小事典』P.197(真宗高田派|高田派を除く)。地域によっては「位牌」を用いる場合もあるが、慣習であり正式な作法ではない。

:法名

(浄土真宗)|法名(戒名とは呼ばない)は、紙に記すか、それを軸装して「法名軸」とし仏壇に掛ける(詳細は法名軸を参照)。略式である「過去帳」を併用することも容認されているが、正式には「過去帳」は引き出しにしまっておく。

:浄土真宗では、阿弥陀如来の本願|本願力により、その功徳が我々に回向#往還回向|回向されているという教義であり、「自らの善根功徳を亡き人へ回向する」(追善供養)という概念がない。また、亡き人は阿弥陀如来の本願力に遇う縁となった「諸仏」として敬う。そのため、元々は官位を表し、後に礼拝の対象とした「位牌」は用いない。同様に「法名軸」・「過去帳」なども礼拝の対象として用いない。

日蓮宗

:法号の上に、「妙法」の文字が入る。

日蓮正宗

:法名の上に、「妙法蓮華経」の文字が入る。本位牌は作成せずに、過去帳に記す。


沖縄の位牌
位牌祭祀は16世紀には臨済宗寺院内王廟に位牌を安置し年忌供養を行っている。17世紀には首里、那覇の士族層に定着し、18-19世紀には農村でも受容された。琉球王府が重用した儒教思想を背景にもつ父系、男系中心の価値観により、女性の位牌継承などが禁止されたが、男女同権思想が確立した現代、これは問題視されている。
寸法
位牌のサイズは尺貫法で表される。寸法は札丈(札板=文字を入れる板の部分 の高さ)を測り、「号」で表される。(例:4.0号とは、札丈が約12cmの位牌をいう。) 本位牌では、2.5〜7.0寸が主に用いられる。一般に、仏壇の中で、ご先祖様より子孫が大きくならないようにする。 また、寺位牌で大きなものは札板の巾を測る。
生産地
日本では、会津若松(会津位牌)、京仏具|京都(京位牌)、名古屋市|名古屋(名古屋位牌)、和歌山(高野位牌)が主な産地である。主に高級品を中心に製作される。 日本で販売されているものには、中国、ベトナム等から輸入した安価品もあり、また、部品を輸入して最終組み立てのみ日本国内で行っているものもある。
脚注

参考文献

{{Cite

book|和書 |author=瓜生津隆真 |coauthors=細川行信 編 |year=2000 |title=真宗小事典 |edition=新装版 |publisher=法藏館 |isbn=4-8318-7067-6 }}

{{Cite

book|和書 |author=菊池祐恭 監修 |date=1981年改訂 |title=お内仏のお給仕と心得 |publisher=真宗大谷派宗務所出版部 |isbn=4-8341-0067-7 }}
関連項目

板塔婆

霊璽

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